ずっとファンでいてもいいですか






私の大好きな人がいなくなった。



何がどうと詳しく書くこともできそうにないけれど、とにかく空虚で悲しくてとても信じられなくて。とりあえず話題から遠ざかり、ニュースを消して、ネットニュースと知ったように悲しむストーリーを上げたインスタアカウントを片っ端からブロックした。それでもふとしたときに現実なんだと思い出しては悲しくなる。こんな想いをするならおたくなんかやめた方がいいのかもしれないとまで思った。でも、私には一番に心配してくれる友達と、もう1人の推しがいて、彼らに心から救われた。


私はずっと昔から追いかけてきたようなファンではないので彼のこと知ったように書く資格はないと思うけれど、このままでいつまでもいても仕方がない。気持ちを消化して、前を向いてこの先に行くには、どうしても文章に書き起こさないといられなくて。そういう出力型タイプなので。誰に向けてでもなくただ自分のためだけに書きます。嫌だとか、悲しくなるとかそういうことがありそうな人はどうぞ読まないでください。












知ったのは14歳の母というドラマを見た時。私も14歳だったから鮮烈に記憶に残っている。すごく繊細で、素敵な演技をする人だと思った。


大好きになったのは、星の大地に降る涙と海盗セブンという地球ゴージャスの舞台を観た時。その圧倒的な存在感と、歌のうまさ、キレのあるダンス、表現力。舞台に立つ彼は眩しく輝いていてとっても素敵だった。彼のステージに虜になった。


それからテレビに出れば出来る限り見たし、舞台やライブに出ると聞けば必ず小躍りでチケットを取って観に行った。ジャニーズが全てだった私に他に演劇というこんなにも素晴らしい世界があることを教えてくれた。


特にキンキーブーツは人生を変えるくらいの、とてつもない衝撃だった。あんなに身も心も美しくローラを演じられる日本人は彼しかいないと思った。感動と興奮で涙が止まらなかった。何度でも観たくて毎日チケットを取るために必死だった。再演の年は後悔のないように沢山足を運んだ。毎回元気をもらえた。大好きな舞台だった。彼の歌とダンスと表現力がどんどん世界に知られて認められていくのがすごく嬉しかった。


CDが発売されれば、毎日何十回も聞いて色んな人にオススメして回った。透き通るような高くて美しい声が大好きで、もっともっと歌が聞きたいと思った。


ホイッスルダウンザウィンドに主演が決まった。嬉しくてまたチケットを何枚か取った。でも未知のウイルスが流行って、その何公演もが中止になった。その中、どういうわけか私が持っていたチケットの残り1枚が、幕開けの日の公演となった。内容もとても素晴らしかったけれど、その日のカーテンコールでの彼の顔を何故か今すごく思い出す。皆の気持ちを背負ってステージの真ん中に立ち、涙を堪え、声を震わせながら、舞台の力で奇跡を起こしたいと言ったその強さと優しさが大好きだと思った。


ステージに立っていないときの彼は、穏やかで優しくて、真面目で一生懸命で、いつも演技のことを考えていて、繊細で。笑うとくしゃってする。でもどこか、急にいなくなってしまいそうな儚さもあって。私にはそんなふうに見えていたんだけど、そんなところも大好きだった。




とても大好きだった。

願わくばずっと彼の出ている舞台を観ていたかった。

彼の歌声を聴いていたかった。

長い手足でしなやかに踊るのを見ていたかった。

くしゃって笑顔で癒されたかった。

このまま歳を重ねて表現に磨きをかけた演技を見て唸りたかった。


なんで全部過去形なんだろうな。


私が大好きだったところはもしかしたら彼にとってはそうじゃなかったのかもしれないな。もっと沢山ファンレターを送ればよかったとか、もっとSNSにコメントしたらよかったとか、誰か嫌な奴がいたなら言ってくれればバレないように殺したのにとか、全部投げ捨ててどっかに逃げたってよかったのにとか、色々、そりゃ色々考えてしまったけど。私は彼のことを少しも知らないので、何が本当なのか知ることなんか今後絶対ないと思う。知れてたまるかって思う。


きっと彼の選んだことだから、間違いなんてあり得ない。本当にこれしかなかったんだと思う。それならしょうがないよね。少しは楽になれたかな。そうだといいな。


でも、私はすごく自分勝手だから、拍手でいっぱいの空間で笑っていたあの瞬間だけは、彼にとっても少しは至福と思える時間だったって信じていたい。最高に輝いていた彼のことをずっとずっと心に刻んでおきたい。彼がもたらしてくれた最高の感動をどんな形でもいいから沢山残して欲しい。無かったことになんかしないで欲しい。本当は過去にしたくないけど、こんなにすごい俳優がいたんだってとても素敵に笑う人がいたんだってみんなで話したい。



それくらい、いいよね。


彼を超える存在はもうきっとそう現れないから。美しくて眩しい魅力の詰まった彼という存在を、綺麗なまま記憶という宝箱に入れていつまでも眺めていたい。




春馬くん


沢山の感動と至福の日々をありがとう。


今はまださよならなんて言えない。

顔を見ると涙が出てしまうよ。

でも、ずっと忘れない。

何度でも思い出す。



あなたがなんと思おうと、あなたは私の世界で一際輝いていたよ。



大好きです。



2020.7.23